Column:与太爺の世迷言( 2002/10/10 現在 )何故、外国船なのか?


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何故、外国船によるクルーズなのか.....

このサイトの設立の主旨ともなる肝心要の話な訳ですが...

結論を先にいってしまうと

「日本船のクルーズは高すぎて手が出ない」:絶対的な理由
「日本船のクルーズが高い理由が納得できない」:コスト構造に疑問あり
「外国船に出来るのだから、日本船でも、本当は適切な価格のクルーズが出来るはずだ」:運営に疑問あり

という事になるかと思います。

一番目はそのまんまなので、解説の必要は無いと思います。
一番安いキャビンでも、泊単価が一人あたり3万というのは、"安い"とはいえません。
「3万は高いように思うが、実はいろいろと含まれた料金だから、高くはない」なんてい
う説明を代理店や船社の方はしますが、本当にそうでしょうか?
そもそも、3万に見合うと思えば高いなんていいません。見合わないと思うから高いと
思うんですよね....
これが2番目の理由です。

クルーズの場合、そのクルーズ料金に含まれるのは、

・乗船料(移動の交通費)
・宿泊料
・食事
・船内設備の利用料

というところだと思います。
乗船料は、フェリーの料金を考えれば、ほぼ想像がつくでしょう。
宿泊料もホテル代と思えば良いわけです。
食事も計算できます。
設備利用も、船の設備を考えれば想像はつきます。
これで、最低一人3万です。

船が、一日かけて航行できる距離は、良く言われるのは飛行機で1時間の距離とされ
ています。24時間でという換算ですが...約900kmくらいですかね。
これは、ほぼMAXの交通費と考えれば良いでしょう。フェリーに換算すると、1万前後じ
ゃないでしょうか。鉄道でもこれくらいでしょう。まして、クルーズ船の場合は、一晩しか
移動しないことも多々あります。移動距離にすると約半分。運賃もしかりです。

宿泊代。今時、船のキャビン程度の客室(まして最低クラス)なら、ちょっと良いビジネス
ホテル程度でしょう。6〜8千円程度。

食事。これがなかなか難しいのですが....
よく、一流レストランのディナーだとかどこどこホテルの料理に匹敵するとか、いろいろと
船の食事については宣伝文句は聞くのですが...
そもそも、船の厨房というのは火が使えません。電磁調理器が主体です。
そこから生み出される料理がどの程度のものか....
想像はつきますよね....
私は、宿泊+食事+船内アクティビティをセットで、安いシティホテルの食事付き宿泊プ
ラン位が適当かなと考えています。ま、1万5千円くらいなものでしょう。

足してみてください。移動距離にも寄りますが、2万〜2万5千円程度です。3万なんてと
てもいきません。
高いですよね.....
割高感があるんです。

で、3番目です。
外国船はどうでしょう?
これが安いんですね。泊単価は2万位からあります。また、大きな船が多いので、船内設
備も大きなシティホテルからリゾートホテル並の設備があります。施設が大きいと、そこで
行われるアクティビティも自由度が大きくなりますから内容的にも船の中で行われるとは思
えないような物が行われます。総じて満足度が高い内容になります。
逆に、日本船と同じように、泊単価3万もだせば、バルコニーがついているようなキャビンに
泊まることも出来ます。キャビンについても満足度は高いし、割安感があります。

これらは、結局、船の大きさと、人件費の違いと言って良いのではないかと考えています。
日本で最大のクルーズ客船は、郵船クルーズの「飛鳥」です。これが、28,000トンくらいの
大きさの船です。これに7〜8百人の乗客が乗れます。これに対して、外国船は、最大の物
で「飛鳥」の5倍近い大きさの船があります。平均的に見ても、現在の主流は、いわゆる"メ
ガシップ"と定義される90,000トン以上の船でしょう。これでも「飛鳥」の3倍になります。乗客
は2千人弱以上。船内設備(施設)の充実度は、おしてしるべしです。
(必要かどうかはさておき、アイススケートリンクまで備えた船があるくらい...)

そして人件費の問題があります。
今年(2002年)の春ころに出された海事プレス社の「クルーズ」誌に、日本の3大客船クルーズ
社のトップの方々の対談記事が掲載されました。
これには、愕然としたというか、開いた口がふさがらないというか....
とにかく、あまりの認識の違いに驚かされたのを今でも鮮明に思い出します。
要約すると、「日本船は、日本人による、日本人のためのクルーズをするのだ」っていう
ことなんですが....
言葉だけ見ると、至極まっとうなことを言っているように聞こえますが、ちょっと待って下さい。良
く考えて欲しいのです。今更言うまでもないことですが、日本という国は、世界から見たら超辺
境の特殊国だという前提が抜け落ちていることに気づくと思います。
世界で日本でしか使われない特殊な言語を用いる、大陸と隔絶された島国で、しかもほぼ単一
民族で構成されているという特殊性をです。

こういった国民に対しての「〜の為」っていう行為は、世界から見たら恐ろしくプレミア
なプロフェッショナルフィーが不可欠となります。最大の問題は、船内公用言語でしょう。日本船
は、当たり前のように思われるかもしれないですが、これが日本語で行われます。日本語で行
われるということが、どういうことか、考えてみてください。真っ先に思いつくのが人件費ですよね。
世界で見たら、日本人の人件費は安くありません。また、日本語が話せる外国人の人件費も同
様です。こういった人材で船のクルーを雇わなければならなくなります。どうなりますか? 運行
コストが跳ね上がるわけですね。

これが、価格に跳ね返る訳です。
つまり、構造的に高コストなんですね。日本船って。
対して外国船はどうか....
基本的に船内公用言語は英語です。クルーには、東南アジア系や南米系等のそもそも人件費
の安い国々の人が多いことに気づくと思います。
これで人件費を抑えている。一部、不当な低賃金なんていうニュースも流れてきてますが、なん
にせよ、船社のコスト意識は高いと考えることは出来ると思います。

「日本船は、日本人による、日本人のためのクルーズをするのだ」なんて言ってる以上、
これ以上の値下がりは期待できませんし、かといって大きな船が就航するという話も聞きません。
お先真っ暗な状況です。
そうなんです。つまりは「外国船に比して日本船には魅力がない」んですね....
(あくまで、"今の"ですが....)

つまりは、

・高コストな割高クルーズを、
・何らの企業努力もせずに、
・日本人の富裕層だけを相手にして商売している

という日本船へのある種のアンチテーゼでもあるわけです。

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