Reports( 2005/06/25 )ダイアモンド・プリンセス アラスカインサイドパッセージクルーズ乗船レポート 05/28


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ダイアモンド・プリンセス
アラスカインサイドパッセージクルーズ
乗船レポート by "ととろ"さん

2005/05/28 シアトル


わが住居となった船室ともお別れする最後の夜。
荷物を整理し、外の廊下へ。
部屋のバルコニーから身を乗り出すようにして、朝な夕なに変わりゆく海のさまを眺め、
壮大な朝焼けに感動し、星を数えながら(実態は・・たまにしか見えなかった。天候不順だもんなあ)
波音に耳を傾け、オペラグラス片手に鯨、アザラシなどに歓声をあげた8日間に思いを馳せた。
心地よい酔いの残る身体に、船内の華やぐ様子や音楽がまだ余韻を残していた。

翌朝7時。シアトル着。
一泊用の手荷物片手に、船のタラップを降りた。
ツアーコンダクターのYさんと別れを交わす。
彼女は今日の11時には又次のツアー客をこの船に迎えるという。
素敵に思えても大変な仕事だな。
好きだからこそ出来るのだろう。

13人のツアーなので皆さんとも親しくなり、
笑顔ではしゃぎながら、市内観光のバスに乗り込んだ。
いざ、シアトルの街へ、イチローさんの街へ

下船の時。さらば『ダイアモンド:プリンス』また会う日まで(爆)
  8日間お世話になった部屋が見えます。

※下船の時は、黄色い屋根のギャングウエイ(下船して税関までの通路。かなり長いです)船から見下ろしたところ。
※私の部屋は何処でしょう(何処だっていいやねって。ごもっとも)
 船の舳先に近い方でした。
間違ってととろサンが逆の方のエレベーターから降りた時〜〜
廊下ははるかはるか彼方へ続く道でした。

シアトル観光
シアトルはアメリカ・ワシントン州にあり、カナダの国境から180`程南の都市。
『イチローのマリナーズの本拠地』といえば、日本人誰しもがうなずく。
日本人に親しまれた街。
アメリカのリタイアした人たちが住みたいと思う、
海に面し、かつ山などの景観に恵まれた気候温暖なところだ。
山をバックに海を見下ろせる美しいロケーションのところには、
瀟洒な家が立ち並んでいた。
 ロス郊外の『パロスベルデスエステイト』という
小室哲哉や松田聖子の家がある(今もあるのかな)高級住宅地に似ていた。

バスの中から眺める町並みは、道幅広くどっしりと整然としたビル、お洒落なビルが続く。
一番印象に残ったのは街路樹の見事さ。
大きくこんもりと枝を伸ばした樹木が道の両側に続く。
マンションらしき建物の窓には花や緑が目立ち、
庭には州の花『石楠花』が大きな木となって花の色・種類も多い。
道筋は坂道が多く、海に面して眺める景色は映画で見るサンフランシスコを思わせた。

『マリナーズ球場』は街の中にあった。
高速道路から眺めると球場のすぐ横に列車の線路が見えて面白い。
正面にはでっかいイチローの写真が聳える。
孫や甥御さんにイチローグッズを土産にと頼まれた人が多く、
球場横のマリナーズグッズの店へ立ち寄る。
やはりイチローのものが一番の売れ筋らしい。
野球好きの友人の息子さんに帽子とTシャツをお土産に。
私も帽子をちょこんと頭に乗せた。

シアトルには古くからの運河がある。
川から海へと流れ入るあたり、
豪華なクルーザーが出入りする度に係員の操作で橋が開き、
8Mの水位が上がり下がりして、船が細い運河を越えていく。
初めて目にする光景、面白かった。
真夏日のような陽光と輝く青空の下、
真っ白な船の姿の行き来する様子を、
休日でもあり、沢山の家族連れが半袖やノースリーブ姿で眺めていた。
港に停泊するクルーザーの数は壮観で、
中には家を売ってその中で日々生活する人もいるとか。
海とヨット、映画『太陽がいっぱい』だな。
アランドロン格好よかった、音楽素敵だった、ミステリーとしても
上出来だった・・・てなこと思い出しておりました。
かわうそが川の中で潜ったり浮かんだり、きょとんとした愛嬌のある顔で遊んでいました。

川には鮭の上り下りする階段状の『魚の道』があり、
その時期には地下の部屋からガラス越しにその様子が見られるようになっていた。
今は〜〜季節はずれデス。
深緑の水の流れを拝見仕り候。
『あら、これが水というものねえ、知らなかったわ』
なんて。


中には赤いクルーザーも。

古い煉瓦の建物の集まったパイオニア・スクエアを眺めて、
西海岸で最古の歴史のあるというシアトル名物『パイク・レース市場』へ。
海の傍に沢山の露店を集めたようなその市場は、
沖縄の那覇の平和市場にも似ていた。
静かな町並みを走ってきた目には、
どこからこれだけの人達が沸いて出てきたんだろと思うくらい、人・人・人。
賑やかで活気が溢れていた。
お花屋さんが一番に目に飛び込む。
何軒も軒を並べている。
色とりどりの花が、初夏の季節を再認識させてくれる。
楽しくて、一軒ずつながめていたいととろサンは、
この市場名物の豚の彫像まで押され押されながら、
辿りついたはいいものの、『アレ、みんなは?』
何しろ回りはでっかいでっかい人達ばっかり。
小柄な日本人達の姿なんて探せやしない。
 何か買おうかなと思ってたけど、迷子になりそうな不安が先にたって、
何も買わずじまい。
夫サンはちゃっかりとお気に入りのベルトのバックル(ジーンズの)を購入。
Wさん夫婦はお孫さんへの土産を、
甘いもの好き、果物好きのNサンのご主人もさくらんぼを。(夜頂いた、まことに美味)
それぞれ何か手にしているのに、ととろサンは汗だくになりながら、
日本人らしき人の姿を追い求めてさまよっていた。
市場観光の巻となりました。嗚呼、(何度目だあ)

果物屋さんとメープル・シロップ(カナダに近いんだなあ、ここは)の店。
お魚屋さんの前は人だかりで、近寄れませんでした。シアトルは海鮮が有名です。


ホテルチェックインまでの観光なので、
バスの中から『今日は』という感じで、幾つかのところしか立ち寄れませんでした。
この町ももう一度ゆっくり自分で歩いてみたいと思える雰囲気でした。
 『スターバックス』の第一号店があったり、
レトロな駅や消防署があったり、
『街角ウオッチング』好きのととろサンは
『あ、バスとめて、ここで降ります』
っていいたいようなところもありました。


タクシー騒動記
シアトル観光のお昼は中華料理。
バンクーバーの中華は最高!の呼び声高く、
シアトルはそこに近いので期待していたが、
---
後で考えたら、決して近くはない。日本の距離感とは違うのだ。
地理に弱いととろサンは何故かそう思っていました。
---
これはモロに外れた。量は多いのだけど。
皆さんもこっそり『まずいねえ』で、
夕食は自由なので、シアトルは海鮮が美味しいとのこと。
『こいつあぁ、行かずばなるまい』と歌舞伎のぼせのととろサンも台詞もどきに考えていた所に、
Nさんから『お寿司でもどうですか』ツアーの人に呼びかけて希望者募り、
バス観光案内のガイドさんに地元の日本の人が美味しいというお寿司屋さんを教えてと。
搭乗員の方も一緒に3台のタクシーで行く事になった。
ガイドさんも場所は解るけど電話が〜。
あれこれしているうちにタクシーが来てしまった。

電話も詳しい住所も知らず店の名前だけでいいのかな?
と内心案じながらも搭乗員さんの『前の車についてきて下さい』
私は3台目。つまり最終尾。運転手さんは何処だったか、アフリカの何処かの人だったか...
解ったとうなずいたけど、さあ、それからが大変。
何故か赤信号に引っかかる。
はらはらしているうちに、前の車を見失い立ち往生。
勿論店の名前は知らない。
運転手に店の名前を告げても『オー、No』のしぐさ。
なにやら早口でまくし立て、事務所らしき所に入れてるが、拉致あかず。
英語なんだけど、英語に聞こえずという感じの凄いなまり(英語苦手の私でも解るほどのなまり)。
ホテルのフロントにрオて聞いてくれと言っても、解ったのかどうか。
『そうだ、湖、小さい方の湖の所』と同乗者口々に必死である。
湖方面目指して走り出したところ、前の車が待っていてくれた。
ちなみに、前の車の運転手さんはインド人、ターバンを巻いている。
もう一人はエクアドルとか。
多国籍の国アメリカとはいえ、地の利に詳しくないと勤まらぬタクシーの運転手が、
遠く離れた国からの移住者や、働くために来た人達なのである。
彼らに罪はないのだが、つい日本のタクシーのつもりになって、道に詳しいと思ったら大間違い
という話を体験した。スリルとサスペンスのひとときであった。

湖畔にあったその寿司屋さん、
隣が超有名なレストラン。
駐車場にはあの長〜〜い車体の(場所ふさぎの)リムジンが何台も並んでいた。
黒も白も。ちょっとお借りして交替で記念撮影。(笑)
ガイドさんがそのレストランの横と教えてくれたら、
ひやひやしなくて住んだのにねと苦笑した。
予約(その辺は抜かりなく)していたので部屋が用意されていた。
大阪出身というヤングマンが注文聞きに来る。
安い。
一人前握り盛り合わせUS$20-(約2千円余)。
もっと安いものもある。お味噌汁と小鉢がついている。ネタが新しい。

 『お、外国にしてはいいじゃない』
と久しぶりの和食にみなの顔が笑み崩れる。
毎日美味しい洋食に満足しながらも、やっぱり日本人なのだ。
烏賊やイクラや鮪海老白身穴子などに、
名物カルフォルニア巻というのも「これだけで一人前じゃないの」というくらいに入っている。
女性は『食べきれない』と。
 
 おまけにこの部屋の壁には何と『博多山笠』の絵があった。
それも2枚も。
東中洲流れとある。
『えっ』親代代博多っ子の私、嬉しくなってヤングマン君に尋ねた。
店主が博多出身、一年に一度”やま”を担ぎに帰省するそうだ。
『いいねえ』と声をかけてみると博多のど真ん中の出身。
我が家のルーツの近くであった。
そういえば、まもなく真夏到来、
7月は『山笠』祭りで盛り上がる博多の街である。
締め込み姿の男衆が山車(やま)を担いで博多の街筋を朝まだきに駆け抜け、
早さを競う勇壮さは子供の頃から胸躍る夏の風物詩であった。

 街のあちこちに立つ博多人形師による見上げるような『飾り山』も見ものの一つ。
子供の頃は浴衣着てうちわ持って、山笠を見上げ、
歌舞伎の世界の錦絵のような人形や、子供向け(裏面は)の御伽噺の再現に見入ったものである。
 そういえば船にも有名な博多人形師故西頭哲三郎さんの人形が飾ってあった。
この店には、可愛い童画で著名な博多の故西島伊三雄さんの絵もあった。
『伯父が友達だったもんで』とのことだった。

『いつになったら帰れるんでしょう』
”回り道くねくね〜〜”のととろサンの旅日記。
なかなか飛行機に乗れないな。
もうちょっとお待ちくださいね。

お寿司屋さんの辺りで撮った記念写真やスナップは、
今までのクルーズの楽しさや、それでも明日はわが家へという嬉しさとあいまって、
はじけるように明るくさわやかだった。

ホテルの部屋に戻ると、冷やしたシャンパンとフルーツの盛り合わせ、カードが添えられて。
『え、何これ』アメリカに住む娘からの『結婚40周年おめでとう』のお祝いだった。
2人で飲むには多すぎる。
同じく40周年記念旅行のW夫妻、同席する事の多かったN夫妻に声をかけた。
横浜に住む娘夫婦からもお餞別の祝いを貰って出発して私達。
これまでの40年間、優しい風ばかりが吹いていたわけではない。
口には出せぬ辛い事もあった。
しかし、先の読める世代を迎え、
この年になってゆとりと安らぎを心から味わえる幸せに感謝したい
と思うととろサンでした。
旅の最後の夜のひととき、それぞれの人生の話なども出て、
しみじみとした快い時間が過ぎた。
シャンパンは心に染みる美味なる味だった

ゴージャスといわれるクルーズ、
だかそこに参加した人達にも、それぞれのドラマがある。
ツアーに参加したある方は、一年前に30歳の息子さんを難病で亡くされたばかり。
長い闘病それでも医者や友人に大事にされた優しい息子でしたと、胸のロケットにも写真があった。
家族に勧められ、二人の学生時代からの友人に励まされ一緒に女三人旅を計画されたとか。
お話を伺いながらつい涙してしまったのでした。

ついに。
シアトルからいたってスムーズに飛び立ちました。
9:11のテロ以来、アメリカの空港は何処でも厳しいチェックがあります。
上着も靴もあらかじめ脱いでおくと楽。
両手の人差し指の指紋と写真も撮影。
今日から新しい機械が入っての検査初日。
それでも税関通過と別になって楽になりました。
係りのお兄さんが『もう一度』
指紋が出ない。
顔をこすれと身振りで。
『顔の油を指につけてチチンプイ』
で駄目、もう一回シッカリと身振り。
やっとOK。
『年取ったら指紋がなくなるのでは』
と夫サンにいって呆れられたととろサンでした。

天候異変(は大げさだけど)あれこれあったようななかったような旅でしたが、
船旅の良さは、快適な住まい(乗っている間はわが家)にいながらにして行き先にたどり着けること。
船内のイベントや設備が選ぶのに悩む程沢山用意されていて退屈する暇もなく、
自分の意思でゆっくリズムを楽しむも良し、この際色々見聞き、チャレンジするもよし、
というところでしょうか。

新しいことを体験するのが旅、新しいめぐり合いの生まれるのも旅。
オプションも船内の行動も別々で自由でしたが、幾つかは一緒に、
そしてレストランでのデイナーも一緒の時が多く、
WさんやNさんのようなご夫婦と親しくお付き合いできるようなご縁があったのも、
旅から生まれた嬉しい喜びでした。
Wさんには星野道夫との縁、
Nさんには夫の現役時代の同僚のゴルフ仲間だったという縁もあり、
思いがけないことでした。


私達夫婦の属するささやかな『読書会』で、今期は松尾芭蕉の『奥の細道』を音読することになりました。
 
 ”月日は百代の過客にして、行(ゆき)かふ年も又旅人也。
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて、老いをむかふる者は、
日々旅にして、旅を栖(すみか)とす〜〜〜。”

芭蕉の愛した漂泊の旅もまた旅。なれど、
旅はどんな小さな旅でも、家を出て近くの路地を曲がり、
或いはちょっと電車に乗って、少しだけ遠くへ行くのもやはり旅。

 人は日常生活からほんの僅かだけでも時には解放されたいと願うものではないでしょうか。
少しだけ新しい自分を見出し、そして、気持や心を新たにして、また、馴染んだところへ戻っていく。
戻っていく所のある旅を出来るのは幸せといえるのではないでしょうか。

 長い間、途切れ途切れの「ととろずっこけ旅』
お読みいただいた方有難う御座いました。
お疲れ様でした。
   あなたの旅が素敵な旅でありますように。


おまけ
ジーンズのバックル。
(夫サンと世話になってる友人のだんなさんへ)
このカード、便利でした。
船内の支払いは総てこれ一枚で。
部屋の出入りも。
苦手なチップも必要なし
(一日幾らで計算してある)
※何故かととろサンのカード磁石が駄目になって、慌てる場面がありました。


レストランの日本語メニューが一枚出てきたので。

よくあるアラスカ、鮭のお土産。



日付 寄港地
2005/05/21 シアトル
2005/05/22 インサイドパッセージ
2005/05/23 ジュノー
2005/05/24 スキャグウェイ
2005/05/25 トレーシーアーム
2005/05/26 ケチカン
2005/05/27 ビクトリア
2005/05/28 シアトル

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